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University of Miami留学体験記


米田正人 (平成13年卒)

 


2013 年10月より肝臓疾患の基礎、臨床研究目的にUniversity of Miami Miller School of Medicine(以下マイアミ大学)に留学をしております。海外留学を決めるタイミング、留学中の環境などは、医師になってから専門分野の決定とならん で最大の決断になるとおもわれます。何度も悩んで、周りの先生方に迷惑をかけ,そして助けられながら進んでいくこの人生の中の一大イベントである海外留学 に、これからも多くの先生が大いなる夢を抱いて挑戦すると思いますが、その一助になればとこのたび僭越ながら体験記として書かせていただきます。

留学前の大学生活

自分は初期研修を終えてから、大学 院、その後の就職を含めて横浜市立大学附属病院に12年在職いたしました。この長い在職中には200人を超える初期研修医とともに働き、そのうち40人以 上の先生が消化器内科に専攻を決めていただきました。その中でも約20人は大学院に進学していただき、忙しい臨床業務の傍ら研究に励んでいただき、中島教 授や斉藤准教授とともに、研究の手伝いをさせていただいたのは大変貴重な経験となりました。10年も経過すると、初期のころに指導していた大学院生は立派 な医学博士へと成長し、新しい大学院生を指導している姿を拝見いたします。一昔前では、ウェスタンブロットや免疫染色だけで充分であった基礎研究も、今や マイクロアレイ、遺伝子導入、遺伝子ノックダウンなど多種多様に高度化しており、現状では後進の指導もままならない状態となってしまいました。そのため、 自身が更なる知識、技術を吸収し成長する必要を痛感したため、数年前より海外留学を志すようになりました。履歴書(Curriculum Vitae: CV)や業績目録をつくり留学先を選び、応募し、実際に留学できるまでに1年以上の時間がかかりました。最終的にマイアミ大学に留学先を決めたのは、肝臓 の分野でアメリカでも第一人者であるDr. Schiffがおり,事前にマイアミ大学に見学にいったときに、学生やフェローに対する熱心な教育姿勢に対してなによりも感銘をうけたためです。また、見 学に行った夜にはDr.Schiff自らマイアミにある最高の日本料理店に連れて行ってくださり、そのフレンドリーな人柄にも親近感を得たためです。留学 準備期間には、諸先輩方、後輩の先生方が強烈にバックアップしてくれ、僕の仕事を引き継いでくれたおかげで、留学準備をに専念することができました。横浜 市立大学肝胆膵消化器病学の素晴らしさを再認識し、自身にとって強い力となっております。

渡米後の研究

海外留学をすると誰しもメンタルが継時的 に変化いたします。まず「第一期として異文化に対する興奮、第二期として異文化に対する失望、怒り、第3期として異文化にたいする慣れ、第4期は異文化を 楽しむ」ということです。誰しも陥る第二期を短期間で乗り越え、はやめに第三期に入ることが留学を充実させるために重要とされています。留学直後のオリエ ンテーションでこのことを学び、自分の心境を客観的に見ることができ、自身としては早いうちに第3期に入ることができました(まだ第4期には入れていませ んが).マイアミ大学での研究テーマは大きく分かれて二つ、臨床研究と基礎研究になります。留学前には思いもよらなかったことですが、着任早々、臨床研究 として肝臓のイメージングによる線維化測定および臨床応用をプロジェクトとして任されました。アメリカでは2013年5月に肝臓の線維化を定量できる超音 波機械フィブロスキャンがFDAの認可を受けたことをきっかけに、皆フィブロスキャンに多大なる関心を向けているようです。幸いなことに日本でフィブロス キャンをはじめ、各種エラストグラフィーの経験があったため、つたない語学力ながらも、なんとか検査技師、先生方に使い方を伝えることができ、現在までに 300人以上のアメリカ人に検査を施行いたしました(とても良い語学勉強になります)。アメリカ肝臓病学会でも著名なHarrison SA先生がマイアミ大学での講演の前にフィブロスキャンを見学にこられ、その際に一緒に写真を撮らせていただいたのがよい記念になっております(写真添付 あり)。基礎研究では主に肝炎ウイルスと自然免疫を研究しており,Primary Human Hepatocyteやmouse primary hepatocyteなど貴重な細胞、および様々な肝癌細胞系のセルラインを用いて肝細胞と自然免疫についてのシグナリングを研究しています。アメリカの ラボにしては珍しいのですが、基礎研究についてのミーティングは毎日朝夕の2回あり、指導教官とともに実験の作戦、結果の解釈を議論しております。臨床研 究は大所帯でやっている一方、基礎研究は小さなラボで行っております。基礎研究室では、指導教官が1人、ポスドクとして自分1人のみで、その他、研究助手 が1人、学生が3人、狭いながらも楽しく研究をしております。

アメリカでの生活

研究の話はそこまでにして おき、すこしマイアミでの生活についてお話ししようと思います。マイアミの生活といって皆が思い浮かべるのはおそらく「美しい海と砂浜」だとおもいます。 マイアミは一年を通じて温暖な気候があり、また中南米からの移民の方が多くいるので町ではスペイン語が多く聞かれます。こちらの地域の人たちは英語を話せ ない人が珍しくないので、ほんの少ししか英語が話せない人との会話の時には、決してあきらめず、決して馬鹿にせず一生懸命聞いてくれます文化があるようで す。そのためマイアミでの生活では電子メール(ほぼ筆談)やジェスチャー、少しの英会話を駆使することで実験や、臨床をはじめ十分なコミュニケーションを とれることが多いと感じています。語学に不安がある人でも「案ずるより産むがやすし」「習うより慣れろ」という感じでしょうか。留学生活では日本での臨床 業務と異なり、夜や休日は家族と十分な時間を過ごすことができ、年間パスポートを購入すれば、リーズナブルに毎月ディズニーワールドにも行くことができま す。その他、マイアミビーチ、キーウェスト、エバーグレース、アメリカ料理から南米料理に至るまで観光面でも充実した生活をおくれています。その他マイア ミと聞いて真っ先に「マイアミバイス」に代表される治安の悪さを心配される人もいるかと思います。確かにマイアミは中南米からの移民や、労働者、ホームレ スが多いため全米でも屈指の治安の悪さと評されており、夜の電車などは避けたほうがよいとマイアミに住んでいる日本人の方から最初に教わります。一方で温 かいリゾート地として有名でもあり、著名人の豪邸や、裕福な人の老後の地として選ばれる側面もあり非常に裕福な都市としての一面もあります。住んでみると すぐに安全な場所と、(超がつくほど)危険な場所が理解できますので、危険な場所には車でも近づかないようにしています。

まだ渡米して半 年で、折り返し地点にも達していませんが、毎日多くの刺激、新しい発見に出会っております。留学で学んだ知識、経験は今後、横浜市立大学肝胆膵消化器病学 のみならず、日本の医学の発展に役立て、また次の留学する先生方のサポートになればと思っております。このような貴重な機会をいただき横浜市立大学肝胆膵 消化器病学関連の諸先生方に感謝を申し上げます。

横浜市立大学 消化器内科
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