横浜市立大学 附属病院 消化器内科
肝胆膵消化器病学
Department of Gastroenterology and Hepatology
Yokohama city university school of medicine
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中島 淳 (なかじま あつし)
横浜市立大学大学院医学研究科
肝胆膵消化器病学教室
主任教授
主任教授 挨拶
肝胆膵消化器病学教室について
消化器内科は食道、胃、小腸、大腸、膵臓、胆のう、肝臓の7臓器を扱う広範な領域です。当院の消化器内科は「肝胆膵消化器病学」および「消化器内科学」の二つの部門が担当し、すべての消化器疾患に対応可能とすることに努力しております。
肝胆膵消化器病学では消化管グループ(食道・胃・小腸・大腸)、肝グループ(肝臓)、胆膵グループ(胆嚢/胆道系・膵臓)の3グループに分かれることて、互いに連携を取りながら大学病院で求められる専門・高度な医療の提供に努めています。また様々な研究活動も行い、論文発表や国内外の学会での発表を通じて、日本・世界へ情報発信を行っています。
このたび横浜市立大学医学部に新しい教室として肝胆膵消化器病学教室の設立に伴い主任教授を拝命いたしました。本教室は10年ほど前に本学医学部の大学院大学化で新設されました分子消化管内科学の流れをくむ教室です。今回大学院のみならず附属病院での診療、医学部での教育や地域貢献を一括しておこなう新教室となりました。分子消化管内科学時代にすでに50名弱の博士を輩出しております。その多くは神奈川県内の多くの病院で臨床医として、大学で教員を行うなどして多方面で活躍されております。新教室設立に伴いまして今後は医学部学生の教育、附属病院での診療、さらに臨床研究や地域貢献に向けてこれまで以上に精一杯頑張る所存でございますのでどうかよろしくご指導いただければと思います。 さて、私は根っからの臨床家であると考えております、できるだけ多くの患者様を拝見させて頂ければと思っておりますし、常に真摯な姿勢で患者様と対峙し、診断や治療がわからないときは徹底して解決しなければと思います。内科医でありますので、それまで診断がつかない患者様の診断、治療ができたときは大変うれしく思います。教室で若手の先生との検討をして日々悩んでおりますが、やはり重要なことは患者様をしっかり診ることではと常々痛感いたします。大学病院ならではの診断、治療の難しい患者様も多いのですが、やはり目の前の患者様から学ばせていただけることが多々あります。教科書や成書を見て分からなくとも目の前の患者様から学んだこと、そこから未来の教科書が生まれるものと考えますし、そう信じて大学病院として求められている診療を進めようと思いまっております。幸い、我々しか診断できない検査や病気がいくつかあり、横浜市内はもとより全国から多くの患者様がいらっしゃっており医者としてうれしい限りです。特に我々が診断基準や治療指針を策定しております慢性特発性偽性腸閉塞症という難病に関しては、国内で唯一の専門拠点として当該疾患の国内での最後の砦になっております。
教室の診療内容としましては、肝臓疾患は斉藤聡医師を中心としてウイルス肝炎、肝臓がんなどの患者様を多く診療しております、当院は肝臓移植も行いますのでそのような患者様、劇症肝炎の患者様なども受け入れております。肝臓の病気では、近年我が国で患者が増加している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の臨床および研究も精力的に行っております。これは現在マイアミ大学に留学中の米田医師が大学院時代に研究を始め、現在では国内で有数の診療経験を誇っております。また本年度刊行された日本消化器病学会編集による診療ガイドラインでは、私をふくめ横浜市立大学肝胆膵消化器病学が診断部門を担当させていただきました。膵臓胆道系疾患では内視鏡センター長である窪田医師が中心となって、外科の遠藤教授と極めてスムーズな連携で黄疸などの救急患者や、近年増加してきた膵臓がんの早期発見や診断・治療を行っております。消化管に関しては野中医師を中心に昨年リニューアルしました内視鏡センターのおかげをもちまして、多くの患者様の内視鏡検査・治療を行っております。また遠藤医師を中心に小腸カプセル内視鏡や、最近臨床現場で使えるようになりました大腸カプセル内視鏡など先進医療機器を用いた診療も精力的に行っております。カプセル内視鏡は、多くの医療機関から読影を依頼され診断のサポートを行っておりますし、検査件数は神奈川県最多を誇っております。バルーン内視鏡を用いた診断、治療も積極的に行っており、小腸癌、小腸型のクローン病などこれまで診断が困難とされてきた小腸疾患の早期診断・早期治療にも努めております。
これからも大学病院の責務の一つとして、現在わからない病気の病態や、診断・治療方法の開発など臨床研究を精一杯行いつつ、臨床に還元し高度な診療を行うことで、地域の、また全国の患者様のお役になって生きたいと考えております。
略歴:
平成元年大阪大学卒業
平成2年 ― 4年社会保険中央総合病院内科(高添正和先生)
平成3年 ― 茅ヶ崎市立病院 内科
平成9年 東京大学第3内科助手(矢崎義雄教授)
平成10年ハーバード大学Brigham and Women’s Hospital 客員研究員(Richard S Blumberg教授)
平成12年4月横浜市立大学第3内科講師
平成12〜15年 ハーバード大学医学部客員准教授
平成20年横浜市立大学付属病院消化器内科教授
平成26年横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室主任教授
専門領域:
消化管運動異常、とくに慢性特発性偽性腸閉塞、難治性便秘、機能性腹部膨満症
肥満と消化器疾患、特に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
大腸がんの発がんメカニズム(特にepigeneticな異常)と化学予防
小腸疾患の診断と治療、特にleaky gut syndromeやsmall bowel bacterial overgrowth
米国消化器病学会フェロー
日本消化器病学会指導医、日本肝臓学会指導医、内科学会総合内科専門医、消化器内視鏡学会指導医
日本内視鏡学会奨励賞、米国クローン財団リサーチアワード
厚生労働省 「我が国における慢性特発性犠牲腸閉塞の疫学・診断・治療の調査研究班」研究代表(班長)(平成21−23年)
厚生労働省 「我が国におけるslow transit constipationの疫学・診断・治療の調査研究班」研究代表(班長)(平成26年)
科学技術振興機構(JST)産学協同プロジェクトA-ステップ「非アルコール性脂肪肝炎の非侵襲的診断法の開発」プロジェクトリーダー(平成22-24年)
日本消化器病学会「肥満と消化器疾患」委員会委員
日本消化器病学会 NASH/NAFLDの診療ガイドライン作成委員メンバー
日本消化器病学会 慢性便秘の診断と治療の附置研究会 幹事
2014年の主な研究業績
2013年以前の業績についてはこちら
1.Endo H, Sakai E, Taniguchi L, Kessoku T, Komiya Y, Ezuka A, Kawamura H, Taguri
M, Higurashi T, Ohkubo H, Yamada E, Takahashi H, Inamori M, Maeda S, Sakaguchi T,
Hata Y, Nagase H, Nakajima A. Risk factors for small-bowel mucosal breaks in
chronic low-dose aspirin users: data from a prospective multicenter capsule
endoscopy registry. Gastrointest Endosc. 2014 May 13. pii: S0016-5107(14)01292-9.
doi: 10.1016/j.gie.2014.03.024. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 24830581.
2.Olszak T, Neves JF, Dowds CM, Baker K, Glickman J, Davidson NO, Lin CS, Jobin
C, Brand S, Sotlar K, Wada K, Katayama K, Nakajima A, Mizuguchi H, Kawasaki K,
Nagata K, Müller W, Snapper SB, Schreiber S, Kaser A, Zeissig S, Blumberg RS.
Protective mucosal immunity mediated by epithelial CD1d and IL-10. Nature. 2014
May 22;509(7501):497-502. doi: 10.1038/nature13150. Epub 2014 Apr 6. PubMed PMID:
24717441.
3.Ohkubo H, Masaki T, Matsuhashi N, Kawahara H, Yokoyama T, Nakajima A, Ohkura
Y. Histopathologic findings in patients with idiopathic megacolon: a comparison
between dilated and non-dilated loops. Neurogastroenterol Motil. 2014
Apr;26(4):571-80. doi: 10.1111/nmo.12303. Epub 2014 Jan 6. PubMed PMID: 24387755.
4.Imajo K, Yoneda M, Ogawa Y, Wada K, Nakajima A. Microbiota and nonalcoholic
steatohepatitis. Semin Immunopathol. 2014 Jan;36(1):115-32. doi:
10.1007/s00281-013-0404-6. Epub 2013 Dec 14. PubMed PMID: 24337650.
5.Yoneda M, Thomas E, Sumida Y, Imajo K, Hyogo H, Fujii H, Ono M, Kawaguchi T,
Eguchi Y, Nakajima A. Uric acid levels decrease with fibrosis progression in
patients with nonalcoholic fatty liver disease. Clin Biochem. 2014 May 4. pii:
S0009-9120(14)00216-1. doi: 10.1016/j.clinbiochem.2014.04.026. [Epub ahead of
print] PubMed PMID: 24797484.
6.Kitamoto A, Kitamoto T, Nakamura T, Ogawa Y, Yoneda M, Hyogo H, Ochi H,
Mizusawa S, Ueno T, Nakao K, Sekine A, Chayama K, Nakajima A, Hotta K.
Association of polymorphisms in GCKR and TRIB1 with nonalcoholic fatty liver
disease and metabolic syndrome traits. Endocr J. 2014 May 1. [Epub ahead of
print] PubMed PMID: 24785259.
7.Sato T, Hara K, Mizuno N, Hijioka S, Imaoka H, Niwa Y, Tajika M, Tanaka T,
Ishihara M, Shimizu Y, Bhatia V, Kobayashi N, Endo I, Maeda S, Nakajima A, Kubota
K, Yamao K. Gastroduodenal stenting with Niti-S stent: Long-term benefits and
additional stent intervention. Dig Endosc. 2014 Apr 22. doi: 10.1111/den.12300.
[Epub ahead of print] PubMed PMID: 24754262.
8.Kitamoto T, Kitamoto A, Yoneda M, Hyogo H, Ochi H, Mizusawa S, Ueno T, Nakao
K, Sekine A, Chayama K, Nakajima A, Hotta K. Targeted next-generation sequencing
and fine linkage disequilibrium mapping reveals association of PNPLA3 and PARVB
with the severity of nonalcoholic fatty liver disease. J Hum Genet. 2014 Mar 13.
doi: 10.1038/jhg.2014.17. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 24621583.
9.Kohjima M, Enjoji M, Yada R, Yoshimoto T, Nakamura T, Fukuizumi K, Fukushima
N, Murata Y, Nakashima M, Kato M, Kotoh K, Shirabe K, Maehara Y, Nakajima A,
Nozaki Y, Honda A, Matsuzaki Y, Nakamuta M. Pathophysiological analysis of
primary biliary cirrhosis focusing on choline/phospholipid metabolism. Liver Int.
2014 Mar 12. doi: 10.1111/liv.12526. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 24620780.
10.Sakai E, Ohata K, Chiba H, Matsuhashi N, Doi N, Fukushima J, Endo H,
Takahashi H, Tsuji S, Yagi K, Matsusaka K, Aburatani H, Nakajima A, Kaneda A.
Methylation epigenotypes and genetic features in colorectal laterally spreading
tumors. Int J Cancer. 2014 Mar 3. doi: 10.1002/ijc.28814. [Epub ahead of print]
PubMed PMID: 24590867.
11.Sakai E, Nakajima A, Kaneda A. Accumulation of aberrant DNA methylation
during colorectal cancer development. World J Gastroenterol. 2014 Jan
28;20(4):978-87. doi: 10.3748/wjg.v20.i4.978. Review. PubMed PMID: 24574770;
PubMed Central PMCID: PMC3921549.
12.Sumida Y, Nakajima A, Itoh Y. Limitations of liver biopsy and non-invasive
diagnostic tests for the diagnosis of nonalcoholic fatty liver
disease/nonalcoholic steatohepatitis. World J Gastroenterol. 2014 Jan
14;20(2):475-85. doi: 10.3748/wjg.v20.i2.475. PubMed PMID: 24574716; PubMed
Central PMCID: PMC3923022.
13.Imajo K, Yoneda M, Fujita K, Kessoku T, Tomeno W, Ogawa Y, Shinohara Y, Sekino
Y, Mawatari H, Nozaki Y, Kirikoshi H, Taguri M, Toshima G, Takahashi J, Saito S,
Wada K, Nakajima A. Oral choline tolerance test as a novel noninvasive method for
predicting nonalcoholic steatohepatitis. J Gastroenterol. 2014 Feb;49(2):295-304.
doi: 10.1007/s00535-013-0776-3. Epub 2013 Mar 16. PubMed PMID: 23503837.
内視鏡センター長 挨拶
窪田 賢輔 (くぼた けんすけ)
横浜市立大学医学部付属病院
内視鏡センター長
この度、中島 淳 教授の後任として、この4月より、内視鏡センター長を務めさせて頂くことになりました窪田賢輔で御座います。
患者様の高度なご希望、ご要望にお応えすべく、この内視鏡センターは横浜市が巨額の資金を投じ、最新鋭のスタッフ、医療機器を導入しております。上下部の診断、治療内視鏡は当然のこと、経鼻内視鏡、国内有数の症例数-システムを誇るカプセル内視鏡も積極的に行っております。さらに透視室を付設し、膵胆道診断、治療内視鏡、超音波内視鏡に至るまで、全ての消化器内視鏡の診断、治療が可能となりました。大学病院に求められる高度先進的医療を、市民の皆様のニーズに応じ、安全、確実に行ってゆく所存で御座います。