横浜市立大学 附属病院 消化器内科
肝胆膵消化器病学
Department of Gastroenterology and Hepatology
Yokohama city university school of medicine
研究テーマ
最近の主な研究成果・学会での受賞など
消化管グループ・上部 (機能消化管グループ)
関野雄典
(平成25年大学院卒業 H17年 山梨医科大学卒業)
研究テーマ
体外式超音波を用いた胃運動能の評価
消化管血管拡張症の発症、出血のリスクに関する検討
内視鏡的胃内バルーン留置術による病的肥満患者の治療
BMI 35kg/m2以上の方のうち、糖尿病、高血圧症、脂質異常症や、睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症など一つ以上の肥満関連疾患の合併を認める(単に体重が重たいだけでは適応ではありません)、6か月以上の内科治療に反応の乏しい患者様を対象としています。
飯田洋
(平成23年大学院卒業 H16年 浜松医科大学卒業)
研究テーマ
pHメータを用いた胃酸分泌抑制薬の胃内pHの立ち上がりに関する検討
カプセル内視鏡と無線式pHメータを用いた小腸pHに関する検討
野中敬
(平成24年大学院卒業 H14年 横浜市立大学卒業)
研究テーマ
呼気試験を用いた胃排出能に関する検討
問診票を用いた腹部症状に関する検討
当グループの活動内容に関して、以下のURLをぜひご覧ください。
機能消化管グループホームページ
機能消化管グループ facebookページ
消化管グループ・下部
遠藤宏樹
(平成21年大学院卒業 H15年 山形大学卒業)
研究テーマ
肥満による大腸発癌促進メカニズムの解明
低用量アスピリン小腸粘膜傷害の特徴の解析
低用量アスピリン小腸傷害と心血管イベント発生の関連調査 など
カプセル内視鏡による小腸病変の診断法の開発
酒井英嗣
(平成26年大学院卒業 H17年 福井大学卒業)
研究テーマ
大腸前がん病変の遺伝子解析
大腸前がん病変をエンドポイントとした化学予防試験
カプセル内視鏡
日暮琢磨
(平成25年大学院卒業 H17年 横浜市立大学卒業)
研究テーマ
肥満をターゲットとした大腸発癌のメカニズムの解明
大腸癌の化学予防
大腸ポリープ切除後を対象としたポリープ再発抑制臨床試験
ACFをターゲットとした大腸腫瘍の化学予防
潰瘍性大腸炎の病態解明
潰瘍性大腸炎の増悪因子としての口腔内細菌
カプセル内視鏡を用いた潰瘍性大腸炎の小腸病変の解析
現在、大腸癌の死亡率は増加傾向であり、なんらかの対策が必要です。機能性食品や薬剤を用いて大腸癌を予防することを化学予防といいます。現在、様々な化学予防の候補薬を用いて大腸腫瘍の化学予防の臨床試験を行っております。(詳細は臨床試験の項目をご参照下さい)
潰瘍性大腸炎の小腸病変をカプセル内視鏡を用いて検討した研究で平成23年度 日本消化管学会最優秀賞を頂くことができました。この素晴らしい賞を励みに今後も頑張っていきたいと思っております。
平成24年度 消化管学会賞授賞式の様子
大久保秀則
(平成26年大学院卒業 H17年 新潟大学卒業)
研究テーマ
慢性偽性腸閉塞症の新たな画像診断法の確立
慢性偽性腸閉塞症の病理学的解析
慢性機能性便秘に対する薬剤治療
当教室では、2009~2011年度まで、厚労省難治性疾患克服研究事業の研究班として、「慢性特発性偽性腸閉塞(CIPO)」という疾患についての我が国の疫学・診断・治療の実態調査を行なってきました(研究代表者:中島淳)。私もこの研究に従事させていただきました。この疾患は器質的な原因がないにもかかわらず、漫然と腸閉塞症状が持続するという難病です。しかし非常に難治性な病気であるにもかかわらず、これまでは疾患自体があまり認識されておらず、何年間も正確な診断がつかないまま経過観察されているという実態が、この研究を通じて明らかとなりました。このような実態が少しでも改善し、より多くの患者さんが早期に正しい治療を受けられるようにするために、我々は世界で初めて正式な診断基準を設けました(この業績は論文掲載されました)。
一方でCTや単純X線検査、消化管造影などの従来の診断方法ではX線被曝を伴い、一部では侵襲性が高いという問題点もありました。現在は、これらの欠点を克服し、さらに腸管の蠕動の様子をひと目で捉えることができる「シネMRI」という新たなモダリティを使って、この病気の評価・診断に役立てることを研究しています(2012年度日本消化器病学会総会、Digestive Disease Week 2012 in San Diego で発表)。
今後は、病理学的な解析を行い、よりこの疾患の本質に迫りたいと考えています。
(DDW 発表:2012年5月22日 サンディエゴ)
「海外での英語でのプレゼンテーションは初めてで緊張しましたが、非常に有意義な経験となりました。」
平成24年度 消化管学会賞授賞式の様子
山田英司
(平成26年大学院卒業 H18年 香川大学卒業)
研究テーマ
大腸憩室
大腸発癌
大腸憩室炎について、消化器病学会のワークショップで発表をしました。
これまで発表した規模とは異なり、大勢の先生方の前での発表することは、緊張はありましたが大きな達成感がありました。大腸憩室関連疾患に関して、日本のトップクラスの先生方と議論することで新たな課題や、検討内容が見つかりました。
肝グループ
小川祐二
(大学院4年 H19年 秋田大学卒業)
研究テーマ
NASHのメカニズム解析
留野渉
(大学院4年 H19年 横浜市立大学卒業)
研究テーマ
肝疾患分野におけるバイオマーカーや診断装置を用いた新規診断法の開発
鈴木香峰理
(平成25年大学院卒業 平成16年 横浜市立大学卒業)
研究テーマ
NAFLDの画像診断、超音波検査
憩室出血
平成24年度 消化管学会賞授賞式の様子
今城健人
(平成24年大学院卒業 H17年 金沢大学卒業)
研究テーマ
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症における腸管由来エンドトキシン関与の解明
非侵襲的診断方法としての空腹時血漿コリン値、経口コリン負荷試験の有用性の検討
非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis; NASH)は肥満に伴う進行性の肝疾患であり、肝硬変や肝癌に至ることが知られている。近年、NASHが飽食の時代に伴い急激に増加していることを知り、以前より肝臓の興味があった自分は大学院でこの疾患の病態進展について研究することとなった。NASHは国民の1~3%が罹患する代表的な疾患であり、動脈硬化性病変や肝疾患死などを招いているにも関わらずその病態進展メカニズムは解明とはほど遠い状況にある。そこで我々は、ウイルス肝炎で認められるリンパ球浸潤などに比し、NASHでは好中球浸潤が目立つことに着目した。即ちNASHの肝臓ではウイルス感染と異なり、好中球が肝臓内へ遊走する病態が惹起されていると考えられる。その遊走因子として腸管由来のエンドトキシンが関与すると仮説を立て、我々は脂肪肝では健常肝に対して反応を起こさない微量のエンドトキシンに対しても反応性を亢進させ、炎症や線維化を惹起することを解明した。我々の報告は消化器病学会、肝臓学会、JDDWなどの主題として採択して頂いており、多くの専門家の先生方に我々の仮説及び実証に興味を持って頂いたという自信にもつながっている。NASH病態には、肝のみならず内分泌や循環器など、様々な専門家が注目しているが、我々の肥満と炎症に関する報告が他分野にわたり応用されることを期待している。
酸化ストレス研究会での活躍
NASH病態の進展において重要な役割を担うのが酸化ストレスである。酸化ストレスは種々の肝疾患における増悪因子であることが示されており、この反応により肝内に炎症や線維化を惹起することがわかっている。この肝疾患と酸化ストレスに着目し、立ち上げられたのが「酸化ストレスと肝研究会」である。我々は第6回研究会に参加し、「リポ多糖体により誘導される酸化ストレスは 非アルコール性脂肪肝炎の病態進展に関与する」との表題で発表させて頂くも、立証したい内容と行った実験が解離してしまっており、また論理が飛躍し過ぎることをご指摘頂く結果となった。本御提案を糧とし、挑んだ第7回研究会では「レプチンは脂肪肝において エンドトキシン感受性を亢進しNASH形成に関与する」という表題で発表させて頂き、最優秀演題賞を頂くこととなった。本研究の軌跡により、一つの仮説を証明するための長い道のりを一つ一つ乗り越えることで、大きな成果を得ることができた。臨床の場では味わえない驚きや喜びが研究の分野では得ることができることを確信している。
AJINOMOTO Award 授賞式の様子
胆膵グループ
渡邉誠太郎
(平成25年大学院卒業 H17年 山梨医科大学卒業)
研究テーマ
膵癌の画像診断(臨床マーカーを合わせた新しい診断)
EUS-FNA穿刺針に関する研究
胆道金属ステントに関する研究
新しい胆膵内視鏡処置具の開発に関する研究(特許出願中)
細野邦広
(平成23年大学院卒業 平成15年 滋賀医科大学卒業)
研究テーマ
メトホルミンによる大腸癌化学予防の検討(学位論文)
メタボリックシンドロームと膵癌
術後腸管のERCP
平成23年度 消化管学会賞授賞式の様子
琉球大学腫瘍病理学教室 吉見教授と共同研究をおこない、成果を日本で一番権威ある癌関連雑誌である、Cancer Science誌に報告しました。我々の教室では研究成果を積極的に海外の学会でも報告しています。写真はアメリカ癌学会総会でのプレゼンテーションの様子です。
留学中
米田正人
(平成18年大学院卒業 H13年 横浜市立大学卒業)
2014年~ University of Miami 留学中
加藤真吾
(平成24年大学院卒業 H18年 横浜市立大学卒業)
2012年~ National Institutes of Health (NIH) 留学中
研究テーマ
膵癌微小環境における腫瘍間質相互作用に関与する分子の研究。
固形腫瘍の腫瘍微小環境において、癌細胞は様々な細胞と相互作用し、増殖していきます。このような固形腫瘍を、間質を含めた集団として解析することに興味を持っています。現在はアメリカのNational Cancer Instituteで、担癌個体の腫瘍免疫について研究しています。癌研究・留学に興味がある方は是非一度ご連絡ください。