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Thai-Japanese Conference on the Lower Functional GI Disordersを終えて

 

 

山田英司 (平成18年卒)

 

記念すべき第1回となる、Thai-Japanese Conference on the Lower Functional GI Disordersが2015年3月5日から3月7日までタイのルネッサンス・プーケット・リゾート&スパで開催された。

 

現ANMA(Asian Neurogastroenterology and Motility association)会長のチュラロンコン大学Sutep教授と兵庫医科大学の三輪教授が、アジア地域での消化管運動機能障害に関する疾患についての情報交換、親睦を深めるために企画されたものであった。会議には、チュラロンコン大学、兵庫医科大学、愛知医科大学、横浜市立大学から若手医師を中心に総勢20名が参加した。

 

会議は3日間の日程で行われ、1日目は、IBSをテーマとし、「IBSのオーバーラップしたNERD患者におけるPPI治療の反応性とQOLに対する影響」、「大腸憩室とIBSの関連性」、「IBD寛解期におけるIBS症状」の演題が発表された。

 

また2日目は、便秘をテーマとして、「慢性便秘の頻度と自己認識」「消化器内科医におけるSlow transit constipationの認識」「大腸憩室と便秘の関連性」の演題が発表された。

続けて、小腸と大腸機能評価のテーマで、「偽性腸閉塞におけるマノメトリーの有用性」、「偽性腸閉塞におけるCine-MRIの有用性」、「バロスタットを用いたIBS患者の評価について」、「便失禁に対する体系的な取り組み」についての報告が行われた。

 

3日目は、タイ、日本間での共同研究の内容について討議が行われた。いずれの研究・発表も世界でのトップクラスの内容であり、それぞれの発表について、盛んな討議が行われた。普段の学会ではあまり見ない若手医師から演者への積極的な質問があったことが印象的であった。

 

今回の会議は、従来の会議と2つの点が大きく異なるものであった。

 

1つ目は、発表および質疑応答がすべて英語で行われたことである。

近年、日本開催の学会でも、英語スライドを使用する学会が増えているが、日本人若手医師が多く参加する会で質疑応答のすべてが英語で進行する会議は大変めずらしいことであった。

当然、英語でのプレゼンテーションは初めての若手医師もおり、すべての質疑応答がスムーズにいったわけではない。

それぞれの演者の所属する大学の教授陣がよりわかりやすい英語で会場からの質問を演者に伝えるなど、微笑ましい場面もみられた。

参加者からは、国際学会での英語プレゼンテーションの重要性の再認識についての意見が聞かれた。

同時にアットホームな雰囲気での会議であったため、初回の英語プレゼンテーションの場としていい経験となったとの声が多かった。

 

2つ目は、主催者のホスピタリティーの高さである。

今回の会議は、チュラロンコン大学が幹事となり開催された。タイ、なかでもプーケット島は日本人観光客にも人気の観光地である。が、ツアーを利用したとしても現地人から直接接待を受けることは少ないだろう。

今回の会議は、タイのホスピタリティーの高さを痛感するものであった。

当日の空港への迎えや、現地での移動に始まり、会場のホテル、歓迎の海辺でのバーベキューパーティー、日本人では予約し難い絶景レストランでのディナー、充実のコーヒーブレークなどは筆舌に尽くし難いすばらしさであった。さらに驚くべき点は、すべての企画はチュラロンコン大学のスタッフが企画したものであったが、そのスタッフも会議企画のプロフェッショナルではなく、ドクターやナースであった点である。

スタッフから開催の3日前から現地入りして準備をしていたことを聞いた際には、頭が上がらなかった。

 

第2回の開催については、開催当初は未定であったが、参加者から第2回の開催日時について質問が多く寄せられたことが、本会議の参加者の満足度を示しているのではないだろうか。

会議の最後にそれぞれの個人に贈呈された大きなシルバープレート、参加賞、アルバムは、プーケット島でのよい思いでの品となった。

 

タイのビーチリゾートという雰囲気にありながら、他大学の若手女性医と積極的に交流を行えなかった点が唯一悔やまれる点である。

 

 

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